成年後見制度は年々、申立件数が増加している傾向にあります。その背景にはこの制度の理解が浸透してきたこと、理解力に課題を抱える高齢者や障害者を犯罪や事故から守る必要性が高いことなどがあげられます。たとえ理解力が不十分であったとしても、本人の大切な財産を守っていくことや、本人のこれまでの暮らし方や価値観に配慮して援助することの大切さが、広く認識され始めている結果であると考えられます。

しかし、一方で増え続ける後見申立に対応できる後見候補者の不足が課題となっています。そのため、各市町村で整備が進められている「成年後見制度利用支援事業」は継続的、安定的な第三者後見人の確保にとって重要な制度といえます。また、都市部では市民後見活動や法人後見団体などの設立によって、後見候補者の確保を進めている地域もあること等々、これからの制度の有効活用について貴重な情報が提供されました。

どこの市町村にも設置が進められている「地域包括支援センター」は障害者から高齢者まで、理解力や判断力の不十分な人々の権利擁護に向けた総合的な相談窓口となっています。財産の有無に関わらず、本人の思いや暮らし方を尊重し、権利が守られる「成年後見制度」を多くの援助者が正しく理解し、地域包括支援センターへ相談を寄せていくことが課題解決への近道であると理解することができました。

なお、神栖社協では、4月から成年後見制度に関する相談や手続き方法についてアドバイスする「成年後見制度利用支援相談室」を開設しました。個人情報は厳守しますので安心してご相談ください。