【報告】第264回地域ネットワーク勉強会を開催しました
◆日 時:令和2年1月27日(月) 午後1時30分~午後3時30分
◆テーマ:~地元弁護士がわかりやすく解説~
「成年後見制度 必要になるのはどんなとき?」
◆講 師:神栖法律事務所 弁護士 安重洋介氏
◆参加者:39名
※今回の勉強会は、神栖市受託事業「成年後見制度普及啓発事業」として開催しました。
今回の勉強会は、神栖法律事務所の安重弁護士をお招きし、成年後見制度が必要になるのはどのような時なのかを切り口に、弁護士として関わった事例をもとに制度をわかりやすくお話しいただきました。
安重弁護士の講話と当日の資料をもとにまとめたものを紹介します。
成年後見制度のポイント
成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害の方などで判断能力が不十分なために、財産侵害を受けたり、人間としての尊厳が損なわれたりすることがないように、成年後見人等(後見人、補佐人、補助人)に法的権限を与えて、本人に代わって法律行為ができるようにする制度です。
本人の他に配偶者や四親等内の親族が、家庭裁判所に成年後見人等の選任を申し立てることで手続が開始され、医師の診断書をもとに家庭裁判所の決定により成年後見人等が選任されます。
本人の状態によって3つの類型に分けられます。
- 補助:判断能力が不十分な方。
日常の買物はひとりで問題なくできるが、契約ごとなどは援助者の支えがあったほうが、
良いと思われる方、軽度の認知症の方など - 補佐:判断能力が著しく不十分な方。
日常の買物程度はできるが、大きな財産の売買や、契約締結することは難しい方、
中度の認知症の方など - 後見:判断能力が欠けている状況の方。
日常的な事柄などがわからなく意思疎通ができない方。
成年後見制度のメリット・デメリット
成年後見制度のメリット
後見人等が本人に代わって、施設などに入所する際の契約を行います。
本人の生活や健康に配慮し、安心した生活がおくれるように施設入所などの契約などを行います。
●後見人等が本人に代わって、不利な条件の契約を取り消すことができます。
悪徳商法などの、本人が自分に不利な条件の契約をした場合など、後見人等が
取消権を行使して、契約を取り消すことができ、本人を守ることができます。
●後見人等が本人に代わって、財産の管理を行います。
お金の引落しや定期預金の解約、金融機関など口座の解約手続きを、
本人に代わって後見人等が行うことができます。
●後見人等が本人に代わって、不動産売却や遺産分割協議を行います。
家族との遺産分割協議に参加し、本人の不利益にならないように支援します。
裁判所の許可のにより、不動産の売却が進められるようになります。
成年後見制度のデメリット
●申立ての費用や後見人等への報酬がかかります。
申し立ての際の費用、家庭裁判所に納める収入印紙代、後見登記用の登記印紙の他、
診断書代などの費用がかかります。
後見人等が選任されてからは毎年、後見人等への報酬も発生します。
●後見人等の取り下げは自由に出来ません。
後見人等が選任されると、自由に解任することはできません。
解任には裁判所の許可が必要になります。
●家族でも財産を勝手に使うことは不可能となります。
本人のすべての財産を後見人等が管理し、本人にとって必要なことに
出費するようになります。そのため、家族でも本人の財産を勝手に生活費に
充てたりすることはできません。
【成年後見制度が必要な時】
(1)認知症などにより、キャッシュカードの紛失や暗証番号がわからなくなったために、
銀行の手続きが必要な場合
(2)近くに面倒を見てくれる人や身寄りもなく、病院や施設の契約等を代わりに行う人が必要な場合
(3)不動産売却、遺産分割協議、交通事故訴訟などの難しい法的手続きが必要となる場合
(1)や(2)の場合は親族の他に、社協等の法人が後見人等になって支援することも増えてきていますが、
(3)などのケースは司法の専門家が後見人等となることが相応しいケースといえます。
例えば、本人の介護施設に入所の際に、自宅や他の財産を売却しようにも、本人の判断能力が低下している場合は適切に売買の手続を進められません。そのようなときに後見人等が選任されていれば、後見人等が本人の財産を管理処分することができます。裁判所への居住用不動産許可申立てを行い、代理権によって財産を処分して本人のために使うことが可能となります。このような不動産売却を行う事例では、法律に詳しい弁護士が選任されることによって、本人の不利益にならないように支援することができます。
安重弁護士より上記事例以外にも遺産分割協議等の事例について話して頂き、成年後見制度についてはクイズ形式で分かりやすく解説頂きました。講話の途中に何度も会場から質問が寄せられましたが、その都度、丁寧に回答していただき、より理解を深めることができたと思います
成年後見制度については、「裁判所」や「法律」というイメージから、とっつきにくいと思われるかもしれませんが、判断能力の不十分な方の権利と生活を守るための制度であり、必要な人がきちんと制度に繋がることが大切です。法律と福祉の専門機関が協力して制度が普及し、より制度が活用されるために、市内の相談窓口は以下のとおり設置されています。
問い合わせ先
・神栖市社協 福祉後見サポートセンターかみす 保健・福祉会館内 電話0299-93-0294
・神栖市役所 長寿介護課 地域包括支援G(高齢者) 保健・福祉会館内 電話0299-91-1701
・神栖市役所 障がい福祉課(障害者) 保健・福祉会館内 電話0299-90-1137
問い合わせ先
このページに関するお問い合わせは神栖市社会福祉協議会です。
(本所)神栖市溝口1746-1 (支所)神栖市土合本町3-9809-158
電話番号:(本所) 0299-93-0294 (支所) 0479-48-0294 ファクス番号:(本所) 0299-92-8750 (支所) 0479-48-1294
メールでのお問い合わせはこちら- 2020年2月26日
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