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3. ★社協職員レポート ～福祉教育出前講座の魅力～

神栖市社協では、市内の各小中学校、専門学校や企業を対象にテーマに応じた福祉教育出前講座を行っています。
出前講座の内容は、車いす・高齢者疑似等の体験や高齢者、障害者との交流のなかで福祉について学ぶものなど
様々なプログラム を用意しています。
　今回は、私がある小学校の出前講座に訪問した際のエピソードをご紹介させていただきます。

　この日は低学年を対象に地元のシニアクラブの会員さん達と昔遊びの体験を通じて交流するというプログラム。本プログラムは、コロナ禍を経て約4年ぶりの開催となり、児童もシニアクラブの皆さんも大変楽しみにしている様子でした。昔遊びでは「お手玉」「けん玉」「こま」「紙ひこうき」「めんこ」など、様々な昔懐かしい遊びを用意し、今まで経験したことがある児童もない児童もシニアクラブの皆さんと楽しんで交流していました。



　
　そんな中、ある児童（以下、Ａさん）がけん玉をしていて、シニアクラブの会員（以下、Ｂさん）がつきっきりで教えていました。
Ａさんは、なかなか上手にけん玉ができず挑戦を繰り返していましたが、周りの児童は次々に成功し、シニアクラブの会員に自慢げに
話しかけていました。そんな姿を横目に何度も何度も挑戦を続けるＡさん。
　次第にＢさんの指導にも熱が入り、気がつくと二人とも汗だくでけん玉に熱中し成功の糸口を模索。

　その時でした・・・「こうしたらできるよ」、「ちからはあんまりいらないよ」、何人かの友達が見本を見せなが
ら、けん玉をやって見せてくれました。その後、Ａさんを含め、児童同士が輪になって教え合いが始まったのです。
Ａさんは、そんな友達の姿をじっと見つめながら、何とかしてコツを学ぼうとしている様子でした。

　「残り時間2分です」先生から体験終了のアナウンスがあり、残りわずかなチャレンジの中、突如その瞬間は
やってきました・・・Ａさんのすくったけん玉の赤玉はきれいな放物線を描き、お皿へ見事におさまったのです。
「やったー！！」と私が喜びの声を上げる前には、すでに児童たち、シニアクラブの会員も大盛り上がり。
何度も失敗を重ねながらも、成功をおさめたＡさん本人はというと、友達たちからの「よかったね」、「すごいね」
など、たくさんの労いの言葉に照れくささと成功の満足感とが混ざり合ったような表情をしていました。
そして、成功を見届けてくれたＢさんや友達に、どこか照れくさそうにしながらも一言だけ「ありがとう」と感謝
を伝えていました。

　授業の最後には代表児童数名からシニアクラブの皆さんへ感想やお礼の気持ちが伝え
られ、一生懸命に発表する児童たちの姿に胸を打たれる方も多くいらっしゃいました。
　Ａさんに根気強くけん玉の指導をしていたＢさんも、満足感と久しぶりの児童との交
流の喜びから目に涙をためながら帰路につかれたのがとても印象的でした。

　わずかな時間ではありましたが、今回、昔遊びを通じたシニアクラブの方々との交流は、児童たちにと
って、''思いやり''や''助け合い''の気持ちを育むきっかけになったと思います。
　体験を通じて、子ども達とボランティアの方など、色々な方と交流ができ、そこから様々な気づきを得
られることも本事業の魅力の一つだと感じており、担当者として、これからもこのような機会をより多く
提供できるよう、企画・運営に努めていきたいと考えています。
　
　福祉教育出前講座では、地域で生活している高齢者や障がい者の方々の思いを感じてもらうことで受講
される方々が、それぞれの視点で’’福祉’’への関心を高めることができます。　
　私自身も、神栖市社協職員として自分なりの福祉とは何かを日々考え、人や地域とのつながりを大切
にしながら仕事をしていきたいと思います。

　お読みいただきありがとうございました。

本所地域福祉総合相談センター Ｔ

• 2024年6月6日
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